新婚のみなさん、「結婚助成金」という制度があるのをご存知ですか。結婚助成金は国が新婚家庭に支給するお金のことで、新生活にかかる費用の一部を補助してくれます。給付されるためにはいくつかの条件がありますが、対象の家庭であれば最大60万円がもらえることも。この記事では、結婚助成金をもらうための条件や申請方法などについて、詳しく解説いたします。
結婚助成金とは
結婚助成金は、正式には「結婚新生活支援事業費補助金」といいます。居住している市区町村が新婚家庭に支給する補助金で、少子化対策の一環として実施されるようになりました。
「結婚したいけど今は経済的な余裕がない」という不安から結婚が先送りされることが少なくなるよう、結婚しやすい環境づくりを目指して開始されたありがたい制度なんです。
結婚助成金の給付条件
結婚したいカップルや新婚夫婦には、大変嬉しい結婚助成金。とはいえ、支給されるためにはいくつかの条件があります。各自治体で細かな条件は異なりますが、以下の図をもとに自分たちは給付の対象となるか事前に確認してみましょう。
条件 | |
対象年齢 | 39歳未満 (都道府県主導型市町村連携コースは29歳未満) |
対象世帯年数 | 約540万円未満 |
補助対象の費用 | ■新居の住居費 ・購入費 ・家賃、共益費 ・敷金・礼金、仲介手数料 ・リフォーム費用 ■引っ越し費用(引っ越し・運送業者に支払った費用のみ) |
その他 | ・夫婦ともに市区町村に住民登録していること ・期間内に婚姻届が受理されていること ・夫婦ともに税金を滞納していないこと ・過去に同様の補助金を受けていないこと |
それでは、上図の条件項目をそれぞれ詳しく解説していきましょう。
条件①対象年齢
夫婦ともに婚姻日に39歳未満であることが条件となります。自治体によっては、「一般コース」と「都道府県主導型市町村連携コース」に分けられており、後者は29歳未満であることが条件です。
都道府県主導型市町村連携コースとは、「都道府県が主導し、本事業を実施する市区町村の割合を拡大する取り組みを支援する」コースのことです。補助の割合が大きいので、お住まいの市区町村が実施しているのであれば、ぜひ活用してくださいね。
条件②対象世帯年収
夫婦の合計所得が400万円未満(世帯年収約540万円未満に相当)であれば、給付の対象です。なお、奨学金を返還している世帯は、奨学金の年間返済額を所得から控除できます。
条件③補助対象の費用
新婚家庭に支給するとはいえ、生活にかかるすべての費用が対象になるわけではありません。新生活を始めるための「新居の住居費」と「引っ越し費用」が対象です。
新居の住居費とは、「購入費」「家賃・共益費(1ヵ月分)」「敷金・礼金」「仲介手数料」「リフォーム費用」などを指し、持ち家でも賃貸でも対象となります。
引っ越し費用には、「引っ越し業者や配送業者に支払った費用」「荷造りのための費用」が含まれます。
条件④その他
結婚助成金をもらうには、該当の市区町村に夫婦ともに住民登録をし、対象となる期間内に婚姻届が受理されている必要があります。自治体によっては、一定期間定住する見込みがあるかなどの細かい条件があるケースもありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
また、住民税や固定資産税、国民健康保険税などの税金を滞納していないこと、過去に同じ助成金や公的制度による家賃補助などを受けていないことも条件となります。
お住まいの市区町村が結婚助成金を実施している場合は、細かな条件を各市区町村のホームページから確認できます。
結婚助成金の支給金額
結婚助成金の支給金額は、年齢とコース(一般コースまたは都道府県主導型市町村連携コース)によって変わります。どちらのコースに該当するのかは、自治体に確認してみましょう。
一般コース | 都道府県主導型市町村連携コース | |
補助率 | かかった費用の2分の1 | かかった費用の3分の2 |
補助上限額 | 30万円 | 夫婦ともに29歳以下…60万円 夫婦ともに30~38歳…30万円 |
例) 補助対象の費用が50万円 | 25万円 | 夫婦ともに29歳以下…約34万円 夫婦ともに30~38歳…30万円 |
結婚助成金の対象となる地域・自治体
内閣府が発表した資料によると、結婚助成金の対象となる地域は全国で634もの市区町村です(令和4年度)。2023年5月時点で全国の市区町村数は1,724ですので、約36%の市区町村が結婚助成金を実施している計算になります。
令和4年10月時点で結婚助成金の対象となる地域・自治体は以下のリンクから確認してみてください。
リンク:令和4年度 地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)
結婚助成金の申請方法
結婚助成金は、必要書類を揃えて市区町村に提出し、受理されれば受け取ることができます。ここでは、必要書類や申請から交付までの流れをわかりやすく解説していきましょう。
必要書類
結婚助成金の申請に必要な書類は、主に以下の通りです。必要書類は市区町村ごとに異なりますので、詳しくは問い合わせやホームページなどで確認してください。
- 結婚新生活支援事業費補助金交付申請書
- 戸籍謄本(または婚姻届受理証明書)
- 入籍後の住民票
- 所得証明書
- 新居に関連する書類(売買契約書や賃貸借契約書、賃料の領収書の写しなど)
- 引っ越し費用にかかる領収書の写し ・市県民税の滞納がないことの証明書
貸与型奨学金を返済している場合は貸与型奨学金の返還額が分かる書類の写し、申請時に無職である場合は離職証や退職証明書などが別途必要になります。
結婚助成金の申請から交付までの流れ
結婚助成金を受け取るまでに申請者が行うのは、必要書類の提出と交付決定通知書の確認、交付請求書の提出のみです。申請から受け取りまでをスムーズにするためにも、大まかな流れを把握しておきましょう。
受給条件に該当していれば、必要書類を揃えて自治体に提出します。自治体によって窓口となる担当課が異なりますので、事前に確認しておきましょう。
審査にかかる期間には自治体によって差がありますが、およそ1~2週間の審査を経て交付の可否が決定します。
審査により交付が決定したら、自宅へ交付決定通知書が送られてきます。書類の不備があれば、再提出を求められますので迅速に対応しましょう。
交付請求書に必要事項を記入し、窓口に提出します。交付が決定したからといって、交付請求書の提出がなければ助成金は交付されませんので注意してください。
自治体から指定口座に結婚助成金が振り込まれます。請求書の提出から交付までの期間は窓口や交付決定通知書にて確認しましょう。
再婚しても結婚助成金は受け取れる?
再婚しても、結婚助成金は受け取れます。ただし、夫婦の双方または一方が結婚助成金を受け取ったことがある場合は、支給されません。
再婚でも、対象期間内に婚姻届が受理されていればOK!
結婚助成金を申請するときの注意点
結婚助成金をもらえる条件に該当したとしても、必ずしも結婚助成金を受け取れるとは限りません。結婚助成金を申請するときは、以下の点に注意しましょう。
すべての自治体での実施ではない
先述したように、結婚助成金は一部の市区町村で導入されている制度です。交付されるかどうかを調べるよりも前に、お住まいの市区町村が結婚助成金を実施しているかを調べておきましょう。
年齢や所得制限がある
結婚助成金の受給条件には、年齢や所得が含まれています。しかし、条件の見直しは随時行われており、今後は世帯所得の合計が500万円未満に緩和される予定です。
対象外になる費用がある
補助の対象となる費用は「新しい住居にかかる費用」と「(業者を介した)引っ越しにかかる費用」です。そのため、新しい住居で使用する家具や家電の購入費、自力で引っ越ししたときのレンタカー代などは対象になりません。
自分たちで引っ越ししたほうが節約できそうですが、結婚助成金を使えば業者に依頼しても安く済ませられます!
支払済みの費用が対象
結婚助成金は、事前申請が可能な助成金ではありません。必要書類に各種証明書や領収書がある通り、婚姻と引っ越しが完了している必要があります。
引っ越しまでは、助成金対象でない家庭と同様に一時的に出費が嵩みます。助成金交付まで家計に影響が出ないよう、しっかりお金の管理をしておきましょう。
早めに申請する必要がある
結婚助成金は年度ごとに予算が決まっているため、早めの申請が必要です。予算額に達した時点で受付が終了し、申請を受け付けてもらえないこともあります。必要書類が揃い次第、なるべく早めに申請してしまいましょう。
結婚助成金を利用して今後のための貯蓄をしよう
結婚助成金は、結婚したばかりの夫婦のために新居の費用や引っ越し費用を補助してくれる制度です。助成金を活用できれば、新生活への不安も少なくなることでしょう。
そして、新婚生活が始まると、その先には結婚式や出産・育児、持ち家の購入などのライフイベントも視野に入ってくるかもしれません。安心して今後の生活を迎えていくためにも、結婚助成金を活用して上手に貯蓄していきましょう。
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